ドル/円相場は、改めて100円の節目を試す展開になっている。金相場の急落に端を発したリスクマーケットの混乱状況に加え、4月18~19日の20ヶ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を控えてのイベントリスクもあって、4月16日には一時95.80円までドル安・円高が進行した。その後も米株安傾向は続いているが、リスクマーケット全体の地合が改善していることや、G20で円安批判の声が盛り上がらなかったこともあり、改めてドル買い・円売りが活発化している。
G20財務相・中央銀行総裁会議であるが、声明では日本の緩和措置を「デフレ阻止と内需下支えを意図したものだ」として、通貨安政策との見方は採用しなかった。通貨の「競争的な切り下げ」を回避する意向を改めて示すも、これで日銀の緩和政策が外圧で修正を迫られるリスクは後退しており、ドル買い・円売り方針に安心感が広がっている。黒田日銀総裁も、「更に自信を持って適切に金融緩和を続ける」方針を示しており、日米の金融緩和スタンスの違いがドル高・円安を促すフローが修正を迫られることはないだろう。26日には日銀金融政策決定会合も控えており、展望リポートの内容などによっては、更に円売りに弾みが付く可能性もある。
ここにきて、米景況感が悪化していることが警戒される。3月の主要経済指標は市場予測を下回るものが目立つ。1~2月にかけての良好な経済環境に対する反動とみられるが、緊縮財政の影響も指摘されており、米金利に対する低下圧力が目立つ状況にある。もっとも、米緩和政策の縮小・停止が議論される中、日米の金利差が本格的に縮小するリスクは限定されよう。株式・商品市況の伸び悩みは顕著だが、円買いを加速させるようなリスク回避の動きは本格化しないとみる。
今後1週間の予想レンジは、97.50~102.00円。